平ヶ岳は、深田久弥の言葉を借りると、「利根現流域の最高峰」であり「長く平らな山頂は甚だ個性的」そして「それはあまりにも遠すぎた」という存在。

尾瀬や越後周辺の地形は非常に興味深い。地形図を見ていると尾瀬ヶ原から尾根を繋いで平ヶ岳に行くルートを思いついてしまいました。このルートを歩いた人はそう多くは無いと思います。

積雪期ならではのルートをやろう。そう思ったら頭から離れない。行くしかない。

戸倉のゲート前の路肩に駐車。すでに5台ほど停車あり。先行者1名が徒歩スタートしたところでした。アプローチにロードバイクを使う。

ここは夏に武尊山一周したときに下見している。有難いことに除雪はほぼ完了していて、弱虫ペダルでゆっくり進む。先行者はスノーシューを背負っているようでした。鳩待峠約1キロ前で自転車デポ。鳩待峠に五張りほどテント泊あり。

スキーを履いて尾瀬ヶ原へ滑り込む。積雪は2m以上ありそう。雪質は予想を裏切らないモナカ。

尾瀬沼に降り立ち至仏山荘ビジターセンターで朝焼けを拝む。

尾瀬沼を自由に歩けるということは中々無いだろう。燧ヶ岳の存在感に圧倒される。デカイ!

ここからシールを貼って真っ白な湿原をハイキング。誰一人いない真っ白なグランドは静寂の中。

スノーブリッヂは至る所にあって、進行方向ほぼまっすぐに進める。渡渉用にビニール袋を2枚用意していたけれど杞憂に終わる。

上流に差し掛かると巨木群が現れる。尾根の末端から取り付いて標高を上げていく。この尾根も巨木が多くてこの先どんな景色が待っているのかワクワクしながら進む。途中に赤テープがぶら下がっていたからがっかりでした。自分だけの世界に入っていたようです。

大白沢山の鞍部に無駄なく入る。雪質は固いがシールで登れる。振り返れば至仏山が圧巻。先日登った南側とは反対の北からの山容はスッキリしていて美しい。

ここからは起伏がある尾根歩きとなる。

地図上1920のピークに立つ。ここから見る平ヶ岳は真っ白でゆったりとした山容である。

シールを剥がして一本滑る。気分爽快。

再びシールを貼って白沢山を巻きに西側からトラバースに入る。濃い樹林帯に捕まり能率の悪さに嫌気がさしてルート工作を諦める。

登り返したっていいじゃないか。春だもの。

最後の細尾根からピークまでは急勾配で足に効きました。

いよいよ山頂、やりました!

標柱は雪の下なのか見当たらない。広くて平らな山頂です。積雪計か何か知らないけれど計器類が一本立っているだけ。360度白銀の世界の大パノラマ!万歳!!

越後の山々、特に中ノ岳、越後駒ヶ岳、八海山の景色が一気に開けて見惚れてしまう。思わずワォと声が出るほど美しい。

山頂から標高差200mは一瞬のスキー滑降。この調子で帰りは一瞬かと思いきや、ルート工作を途中で諦めたので登り返しのシール歩行があります。なんやかんやシール歩行ばっかりです。

大白沢山の鞍部からワル沢にエントリー。沢の名前からしていかにも悪そうだとは思いながら傾斜のゆるい沢を行く。快適快適。

案の定、滝が3箇所出た!(写真は一番上流の滝でこれは問題なし)

そのうち1箇所(2番目)は滝壺だけぽっかり口を開けていて際どいトラバース。もうこの沢は賞味期限でしょう。

この滝以外は殆ど勾配が無い。雪質は尾根よりはマシだけど。中々スムーズに進まないので苦労しました。

カモシカ君もズボズボ歩いて苦労しているようです。

幻日の気配を感じて空を見上げる。

せせらぎのほとりでおにぎりランチ。あまりにも美味そうな沢の水。一口飲ませてください。

きのこの気配を感じて寄ってみる。

鳩待峠。ここから500m滑ったところに自転車デポあり。ダウンヒルにて帰還。

思いついてしまった計画を完遂できて、なかなかいい運動になりました。やっぱり山はいいですね。

一般に言う山スキーというより登山という分類かもしれません。スキーで滑っている時間より、歩いている時間の割合の方が断然多かったです。それでもスキーはいいですね!!