駐車場から歩いていくと、服部文祥の「百年前の山を旅する」の「笛吹川東沢遡行 日本に沢登りが産まれた日」で記載があった通り、田部重治の文学碑がありました。この石碑の形は確かに車に見えます。「登山家の石碑がなぜ車の形なのか」と服部氏が疑問を呈している。個人的には、車の形に深い意味はないと思う。東沢(あるいは西沢)の珍しい形をした岩を運んできて加工しただけのことではないか。意味不明なことが返って考えさせられます。


 二股吊橋を渡ったら東沢の方へ入る道がありここから入渓。 東沢は一見緩やかに流れているように見えるけれど、水量が多く実は激流。 

 入門レベルという頭でいましたが、水量が多いと遡行レベルは上がります。泳ぐつもりならいけるかもしれませんが、メインは釜ノ沢なので東沢は巻いていくことにします。 

 日本の登山に沢登りというアプローチを取り入れたのは、田部重治と木暮理太郎という故人である。100年以上前の話です。 彼らが最初に歩いたのがこの東沢らしいです。沢の左岸側(進行方向の右側)には彼らが歩いたのちに整備されたとされる登山道が整備されている。これでゴルジュ帯を簡単に巻いていけます。日本百名山の著者である深田久弥も東沢を遡行してしかも同じルートで2回も甲武信岳に登っている。この巻道を歩いたのでしょうか。 

 私もこの道を使って東沢のゴルジュ帯を有り難く抜けました。 


 ゴルジュ帯を抜けると同時に巻道が終わり、釜ノ沢出合まで緩やかな流れを遡行しました。美しい滑滝(支流)が何本も流れ込んできて、思わず足を止めてしまう美しさ。そろそろ滑滝は飽きました、という頃に釜ノ沢出合に到着しました。 

 釜ノ沢に入ると直ぐに魚留滝が轟々と出迎えてくれます。巨大滑滝(激流)。ここで洗礼を受けるのかと思いましたが、実はここは左から簡単に巻けます。一枚岩のクラックを利用してよじ登ると踏み跡がしっかりしていました。ラッキー。 

 この後も滑滝が何本も出できて面白かったです。滝が出るたびに親切丁寧にピンクリボンで目印がしてあるので単独行としてはかなり安心ですが、ある意味面白みに欠ける気もしました。 

 核心部の両門の滝へ。二方向から一つの滝壺に落ちる滝!!感動の連続! 

 先行者2名が滝壺で流しそうめん中でした。「いいなぁ~」と内心思っていたら、気持ちが通じたのか、少し分けて頂きました。ありがとうございました。 おしかったです。揖保乃糸ならもっとよかったです。

 両門の滝以降は沢の勾配が緩くなり、キャンプ跡がちらほら。焚き火して沢登りなんて最高だろうなぁ。 


 この沢、基本的に滝といえば滑滝です。再び滝が出てくる頃には水量が少なくなってきて、沢幅も狭くなってきます。 日が昇り暑くなってきてので、沢を直登で遡行開始。そこそこの難易度がある方が楽しい。 

 ポンプ小屋のところで水が無くなりここが笛吹川の源流という事でした。 

 甲武信小屋で沢靴からトレランシューズに履き替えて山頂まで。 

 やりました!!甲武信岳ゲットです! 


 天気がイマイチなので付近の山しか見えなかったのが残念です。翌日登る予定の金峰山が雲の切れ間から見えました。 折角なので埼玉県の最高峰三宝山に足を伸ばします。深田氏の記録では三宝山は展望がよいとのことですが、樹木が濃く展望などほとんどありません!写真を撮ったら踵を返して小屋まで。 

西沢山荘

田部重治文学碑

田部重治文学碑 ホラノ貝のゴルジュのことを書いてあります。

100年前の装備であのゴルジュ帯を巻かずに目の当たりにしたとすれば、それは相当ビビったと思います。

二股吊橋

ここを超えると

二股吊橋の真ん中から

鶏冠山

橋を渡ったら右に東沢へ入る場所がある

入渓地点から吊橋を見る

この先を渡渉して巻道に入っていく

行けそうに思える

やっぱり無理 泳ぐくらいの覚悟がないと遡行不能

ゴルジュ帯を抜けると穏やか 滑滝が美しい

この木の香りが非常によかった

ようやく窯ノ沢出合

大したこと無いように見えますが、実際は結構デカイ滝ですぞ

滑スライダー!(下から見る)

滑スライダー!(上から見る)

ふざけてどんぶらこ なんて出来ない!

野猿ノ滝 あのクラックを使えば登れる?見た目以上に落差があります。迷わず右から巻きます。

2名が流しそうめん食事中でした

右の滝を右から高巻きます

両門の滝

滝上から二人が見える

ここを超えると

幻想的な苔の世界もある

太陽がギラギラ そろそろドボンしたい

セルフタイマーテイク1

セルフタイマーテイク2

2000mを超えてくると雰囲気が変わってくる

いよいよ源流に近づいてくる

左の滑滝を直登

稜線が近い

携帯電話は圏外だった ヒトココを持ってきた

源流部

笛吹川の最初の一滴

甲武信小屋 おじさんが、「笛吹川の水が一番うまい」と言っていた

甲武信岳まであと一息

明日登る金峰山が中央に見える 五丈岩も見える

日本百名山 甲武信岳 ゲット

奥秩父は深い。去年登った両神山が見える

埼玉県最高峰 三宝山

埼玉県最高峰 三宝山まで行こう

標高2483.5m

バンザーイ

甲武信岳まで戻ろう

 小屋に戻ってテラスに乾かしていた沢履をザックに片付け。

 休憩に柿ピーを食べていると先ほどの2名と再会。なんと二人とも富山県出身で東京赴任中という。まさかの北陸繋がりで会話が弾みました。 

 2人と別れて下山開始。木賊(とくさ)山から戸渡尾根を下ります。退屈な尾根でひたすら下るのみ。分岐点で地図を広げて見ると、密閉していたはずの地図入れが浸水していて、にじんで地図が読めない! 

「近丸新道」か「徳ちゃん新道」か。 

 方向的に左でしょ左!と直感で下る。だんだん尾根から外れて行くのが不安にさせる。 

 登山道に白く輝く鉱石が散らばっていて、これがどんどん増えていきます。 石英やろこれ!ウヒー! 

 進んでいくとトロッコ道が出てきました。あとでわかった事は珪石を運んでいた旧トロッコ道でした。何の材料なのだろうか。このみちが確実に道に繋がることが想像できたので、不安解消、走っていきました。 

無事に朝の道に合流できて安堵。

なぜか一等三角点あり

木賊山(とくさ山)読めない

こういう樹林帯が永遠と続く

近くてマル!名前がもうこっちだと言っている

石英がいっぱい落ちているよ〜

トロッコ道 走っていくよ〜

林道に合流 あとは駐車場まで

道の駅でほうとうのカップ麺をゲット。花かげの湯に浸かって、この日は終了。楽しかったです。ありがとうございました。