おまけ話

 地下足袋はワークマンで購入しました。つま先に鉄心入りの安全靴を選択。さほどの重量ではありません。素足で着用しましたが、この時季どうしても足が冷たいので、インナーは履いた方がいいです。

 

 登山靴は、ハイキングシューズの様なものを使用していましたが、これはソールが柔らかいのでアイゼン装着時に、蹴り込みが弱く危険でした。濡れる事は無かったけれど、ちゃんとした装備でないと、悪条件では歯が立たないので反省。


 携帯はやはり、ドコモでしょう。iPhone6(NTTDocomo)に機種変更した先生の携帯は、なんとアンテナ常時4本!私の携帯iPhone5(Softbank)は圏外!使い物になりません。かろうじて避難小屋で3Gになったけれど、送信ボタンを押せどクルクル回っているだけで写真など送れるはずもありませんでした。乗り換えようと思います。

 

 今回の補給・水分は、ドリンクはテルモスのお茶500ml、スポーツドリンク500mlで追加はなしでした。行動食は洋館、ういろう、カロリーメイト、パン、エネルギーゼリー、 おにぎり!トータル2000kcalくらいかな。前日たらふく食べたので、日帰りならこれくらいで十分でした。


 いづれにしても、今回は天気に恵まれて、運が良かったです。下り坂だったらヤバかったかもしれません。いろいろ反省して、今後に生かしたいと思います。

 さぁ早付尾根から下山です。トレースが残っており有りがたく使わせてもらいます。鎖もでており、慎重に降りられました。さすがに足スキーなど危なくてできるはずもありません。

 天気がよく、避難小屋までの稜線がくっきり見えますが、歩けど一向にたどり着かない長い道のりです。振り返れば剱岳が美しいです。どこからみても今日の劔は絵になります。


 避難小屋に着くと、さすがに営業終了しており閑散としていました。ここで小休止、パンを食べてエネルギー補給。早月尾根からから眺める小窓尾根を眺める。これを登るときが果たしてやってくるのでしょうか。


 ここからは雪もほとんどなくなりスピードを上げて歩いていきます。いつもなら走っていく先生ですが、ベストな体調ではないようで早歩きで進みます。自分も打撲した右膝が痛くて、かばいながら歩いており、左足への負担が相当大きいので無理せず歩きます。痛み止めは持っていましたが、可能な限り使いたくなかったので、この程度の痛みを耐えられないでどうしたものか、ちょっと頭が狂い始めたようです。

 お互い辛抱して歩いているせいか、あまり会話もなく黙々と歩き通しました。1300付近からは、夕日のスペクトルで紅葉も一層きれいに見えるようになり、さらに先行パーティも視界に入ってきて、アドレナリン放出によりエネルギー爆発。「目標が見えて来た行くぞーーー!」と先生。今までのスピードは嘘のように自分も息を吹き返し、最後の30分くらいはほとんど駆け足状態で走り、日が暮れる前にゴーール!!


 仙人池のときもさることながら、今回も達成感は半端じゃありませんでした。今日もヘロヘロ「試練と憧れ」の前で、無事でなによりと心から思いました。

 ハードな山行でしたが、今となっては長いようで短い旅のようなひと時でした。一生忘れないと思います! ありがとうございました。

今日はYasuhiro先生と、初頭の剱岳に挑戦します。ルートは池ノ谷からのアプローチです。


 先生の車に乗せてもらい、一路、富山県は馬場島へ。

 過密なスケジュールをこなしている先生は準備と休憩のため、自分が運転をしばらく担当。アルファード、なんとも快適なドライビングでした。

 馬場島に到着後、即効準備して、登山スタート。池ノ谷の高巻ポイントまでは白萩川をしばらく歩きます。渡渉が必ずあるので、今回は地下足袋を使用しました。沢靴より軽量化できますが、靴底がゴムで滑って転倒しないように注意が必要になります。

 高巻ポイントで登山靴に履き替え。ハイカットの登山靴はかさばるのでザックには入りません。工夫してザックの外側に靴をつけられるように細工をしました(準備の段階から、ない頭を使いました)。

 先生は果たしてどうするのか?興味津々でした。自分はネットを使用、先生はザックカバーを使用していました。なるほど。


 知る人ぞ知る高巻きルートには道がついています。しかし、かなりの急登。気温は低いけれどすぐに暑くなってカッパは脱ぎます。500m登って100m降りました。池ノ谷に降りると、うす暗い感じで、三の窓のシルエットが不気味。恐怖さえ感じさせられる。少し歩くとすぐに雪渓が。防寒の装備ににして、アイゼンも装着、どんどん高度をあげていきます。ド迫力の池ノ谷!振り返れば日本海、能登半島がくっきり浮かんで見えました。

 この時季の池ノ谷雪渓は崩落しており、雪渓が切れているところがありました。ピッケルを打ち込んだりアイゼンでけり込んだりしながら雪の塊をよじ登る必要があり、中々簡単には進ませてくれませんでした。仕舞には新雪が現れラッセルまで始まり、もう大変。

 池ノ谷ガリーではさらに新雪が深くなり、足をとられて体力を消耗。息を切らして天を見上げた。まさに自分がいるのは小窓の王を目の前にしてチンネの真下です。疲れも忘れてしまうほどのスケール感!!「スゴイ!」を連発。そして池ノ谷乗越に出ると、そこに待っていた大パノラマに「おーー。スゴ!!」感動しました。

 池ノ谷乗越から長次郎の頭を目指して、雪の着いた北方稜線を進みます。ただでさえ危険なルートに雪が着いてさらにデンジャラス。アイゼンを履いて、ピッケルを持って歩くのは神経を使います。

 

陽の当たり具合で雪質が変化し、腐った雪から固く締まった雪までさまざま。感覚を研ぎ澄まして足を置く場所を選び、さらに3点支持を徹底して確実に進んでいく必要があります。まさに真剣そのもの。 絶対に無理してはいけないのでルートファインディングが非常に難しく、一瞬足りときを抜く事は許されない一進一退が続きました。

それでも少しずつ、少しずつ本峰が迫ってくるので、モチベーションは途切れませんでした。

風もなく非常に静かな北方稜線に、アイゼンの歯が刺さる音だけが響いていて、完全に自分たちの世界に入り込んでいます。

 長次郎のコルまでくれば少し安心。一度通った道、行ける!と確信しました。気合を入れてあともう少し。


 短いようでとても長く感じた稜線歩きもいよいよクライマックスへ。さぁ祠が見えた!行くぞー!

これまでYasuhiro先生がルートを切り開いてくれていましたが、ここでまさかのGoサイン。

「好きなように歩きなさい。」

ありがとうございます。ではNOZAのルートファインディングで行きます。

 後ろから先生が来ているのかと思いきや、先生も自分でルートをとっていていつの間にやら先を越されていました。先生の写真を撮りまくりました。

 

 ここまで辛抱した甲斐がありました。感無量、ようやく剱岳のピークを踏むことができました。


 剱岳からの景色は最高の大パノラマ。初冬の立山が白く美しい。しばし見とれてしまいます。先生と記念写真を取り合って、小休止。

 今シーズンの春に、池の平から八峰や北方稜線を眺めたとき、いつかあの稜線を間近で見てみたいと思ったその憧れの場所を、まさに今日歩いていたのか・・・と思うと感慨深いです。

 一人では危なくて絶対に踏み込めない場所です、感謝感謝です。

 テルモスの熱いお茶を飲みながらしみじみ思いにふけっていると、先生は携帯でも写真を撮って、送っていました。羨ましい!と先に思ってしまいましたが、自分が無事だと言うことを伝えるツールとしてや、救助の要請が必要になったときにも、携帯が繋がるかどうかということは、かなり重要な要素です。やはり山では、、、


祠にこれまでの無事の感謝の念込めてお参り。ここからも安全帰ります。