温泉につかりながら、温泉ハンターのおじさんと話を聞くと、いろいろ天然温泉探して巡っているが、蓮華温泉は中でも気に入っているらしい。

 「クマノユに行って来なさい」とアドバイスをもらうも何処だかわからず。行ってみますと返事する。

 ランパンとTシャツだけ着て、車までダッシュで下山、おつかれさまでした。

 スポルティバのソールは摩耗して早くも寿命か。


 今回を振り返って、後立はもう、軽い装備では無理でした。浅はかでした。

 稜線は雪で走れません。白馬大池まではトレッキングできるようですが、蓮華温泉は20日でゲートが締まった様です。少し遠い存在となった後立でした。

 蓮華温泉を起点に、朝日岳を目指し、雪倉岳を通過した後、小蓮華山を最高到達地点にして蓮華温泉に還るという周回コースをやってみました。

 当初は白馬岳まで行く予定だったが、雪が想像以上に多く装備不足に時間不足、さらに強風と視界不良が相まって敗退を余儀なくされた悔しい山行だった。

 

 最近の寝不足気味の生活から早起きができず、目覚ましを無意識に止めて夢の中で山に向っていた。忘れ物をする夢を見ていることに気づき、飛び起きた。急いで準備をして蓮華温泉まで飛ばした。

 明るい時間からスタートするのは久しぶり。 紅葉が素晴らしいので、しばらく見とれてしまう。

 山は薄ら雪化粧、これは面白そう。奇麗な景色がみれるかどうか期待半分、雪が多くて果たして行けるのか不安半分だ。

 今回はトレランスタイル、じっとしていたら寒いので、スタートから走っていく。木道の快適なトレイルが続く。紅葉も素晴らしい。

 しばらく進むと、小蓮華山が姿を現した。奇麗だ。しかし遠いな。道のりは長い。2000m手前から、登山道にも雪がちらほら見え始めた。足跡から一人先行者がいるらしい。

 花園三角点では木道の整備工事が行われいた。おかげ様で走り易いです。感謝です。

 視界が開けているところで、先行者を発見した。走っているのですぐに追い付けた。話を聞くと、栂海新道を親不知まで行くらしい。ファイトです!このルートも考えていたが、今回は白馬方面に行く。

 吹上のコル、ここで稜線に出る。急に風が強くなり、体感温度がかなり下がったためウェアを羽織った。雪も徐々に増えてきたので、ペンキマークを見失わない様に走った。

 朝日岳ピーク付近は雪は15cmくらいあり、足を高くあげる必要があり走るのは辛かった。眺めがいいはずだが、曇り空。次に進みます。

 ここから400mほど下る。ここからは登山道がすこし狭くなる。あまりメジャーなルートではないのか。気温があがってきて雪が濡れてきて、シューズ内が不快感。

 暗部まで降りると、燕岩だ。地図では水があるはずだったが、見つからなかった。

 登り返しは、また強風だった。この登り返しはキツかった。

 5時間半の末、ようやく雪倉岳に到達。振り返れば日本海が見えた。日本地図で見る能登半島の形がよく分かった。斜めから見た様な感じである。この辺りは吹きだまりも出来ており、一部膝ほどの積雪もあった。この先が思いやられる。

 この稜線、美しい。 

 今回の目標である白馬岳は見えない。行けるのか。天気も怪しくなって来た。また下りである。雪でルート不明瞭、GPSをたよりに進む。避難小屋に到着するも、冷えていて休んでいられない。

 ハイドレーションのチューブ内の水が凍らないか、心配。飲むとかなり冷たい。

 走る走る!走ればちょうどいい感じ。

 白馬大池下の斜面では、紅葉から雪化粧へと移り変わる様が実に美しい。緑、錦、白、この季節限定の景色だ。帰りはあの稜線を走る。

 最後の登り返しは、ものすごい強風だった。敗退が頭をよぎる。しかし戻るより進む方がゴールには近いので行くしか無い。雷鳥も応援してくれているのか、自分が進む方に逃げていく。いや、逃げている感じではない。誘っているのだろうか。10分ほど一緒に走った。誰にも会わず、寂しかったところだ。雷鳥君ありがとう。

 三国境手前の鞍部で風を凌いで休憩、地図を見て白馬まで行けるか検討するが、強風と視界不良、積雪、時間切れと判断し、三国境までと判断した。

 稜線に出ると、二人の足跡があった。やっぱり誰か白馬へ行っているようだ。

 しかしこの先はアイゼン、ピッケルの世界だろう。トレランシューズでは少なくとも無理だろう。写真を撮って、ここからは白馬大池に向って稜線を下る。

 今回最高到達地点、小蓮華山に到着。遠くに朝日岳、雪倉山が見える。よくここまで来たものだ。

 白馬大池は見えているがまだまだ先だ。

 パンをかじって一息ついた。我ながらアホだなと思った。早く帰って風呂に入りたい。

 雲の切れ目から、一瞬、後立の主峰が見えた。どの山もピークは見えない。

一番奥が五竜だ。その奥にうっすら鹿島槍が見える。いつか縦走してみたい。

 この写真のテーマは、「山を舐めるな」といったところだろうか。

 気を取り直して再び走り出す。振り返れば背後はガスの中。ガスから逃げる。

 すぐにガスに追い付かれて視界ゼロとなる。GPSでは大池のそばにいるが、ガスにまかれ10m先は全く視界がない。小屋もどこだかわからないので、そのまま蓮華温泉方面の看板を頼りにに下る。すぐにガスから抜けられて、安堵する。あとはダッシュで下るだけだ。

 天狗の庭付近は紅葉が奇麗だった。走って来た稜線が見えた。上は雪の世界だったが、下界は環境がまるで違う。暑いくらいだ。レインウェアも脱いで走った。本日二人目の登山客に会ったが、スーパーダッシュで下山中だったので、挨拶だけ交わして走った。

 蓮華温泉が見えた。付近は紅葉が見頃だった。だんだん硫黄の香りが漂って来た。もう気持ちは温泉一色となっている。行くしか無い。入るしか無い。

 温泉発見、湯気モクモクではないですか。天然温泉100%です。その辺で全裸となり・・・

 ざぶ〜ん。最高。いい気持ち。開放感マックスです。おつかれさまでした。極楽気分でした。あの寒さはいったい何だったのと思えるほど、暖まります。