立山 山スキー
立山 山スキー
2014年12月28日
00:00 立山駅 (465)
01:05 美女平 (980)
03:50 大観台 (1463)
06:00 立山山荘 (1945)
08:50 天狗平 (2330)
09:30 立山室堂ターミナル (2432)
10:50 一の越山荘 (2693)
12:10 雄山 (3003)
〜滑降〜
12:35 雄山
13:15 室堂
13:40 天狗平
14:05 立山山荘
14:40 大観台
15:25 美女平
16:15 立山駅
往復 37.4 km 16時間15分
ski:K2 Hellbent
Boots:Dynafit One U
またとない晴天。これはまたとない機会ではないか。晴れるとじっとしていられない性分は重症の域です。
飲み会はノンアルコールで済ませました。じゃんけん大会でまさかの一位になってしまい、変なところで運を使い果たさないで欲しいと、内心ハラハラ。
急いで金沢を出発します。高速道路の温度計はマイナス4℃と出ていました。寒い夜になりそうです。
22:00に立山駅に到着。防寒着に着替えて出発の準備を整えました。足にプロテクトS1を足に塗ってシュラフに滑り込みました。一瞬で眠りに落ち60分の仮眠。
再度プロテクトS1を塗って水膨れ対策はバッチリ。テーピングはなしです。
積雪が多く、立山駅スタート時点でラッセルは間違いなさそうです。
今回は水、食料、防寒着、アイゼンなど装備を充実させる必要があったのでザックがいつもより重いので、体力と根気の勝負になりそうです。
明るいうちに下山したいので17時下山完了と決めました。
時間も限られた中で、目標は立山室堂に設定しました。どこまで行けるのか単独行の挑戦の始まりです。
気合十分で歩き出すと、驚いたことに、先行者がいるらしくトレースがくっきり残っていました。とんでもない人がいるなと感激。
ここはありがたく使わせてもらいます。
トレースのおかげでスイスイ進むことができて超楽ちん。これは単独行と言っていいですか??オッケーい!!
先行者は林道をひたすら歩きますが、帰りを楽にするために、ブナ坂や滝見台、上ノ小平はショートカットを作っておきました。
前回三人で挑戦し敗退したポイントである大観台はあっけなく到達。富山平野の夜景がキラキラで素敵でした。
ここからは林道はもう関係なく弥陀ヶ原は一直線に進めました。
先行者のトレースに感謝感謝で立山山荘に到着。ここでアンパン、板チョコ、ロースハムをむしゃむしゃ食べて、朝食とします。ロースハムはお気に入り。
薄明るくなってきて、弥陀ヶ原がなんとも幻想的です。
気温も低くマイナス7度で風もあり寒い。さすがに体力は消耗します。ウールを一枚着込み、ベンチレーションは遮断、North Faceの防止を被って、最強グローブであるガイドフィンガーを装着すれば幾分寒さは和らぎました。行動すればもう問題なし。
ここから天狗山をトラバース気味にカットしていきます。先行者は林道を進んだらしいので、ここからやっと腕の見せ所?なのでしょうか。
膝ラッセルが続きもう暑いくらい。
振り返れば、遠く白山がモルゲンロートでオレンジ色に染まっていました。なんて美しいんだろう。こんな景色見たことがない。癒されました。
トラバースは「帰りにギリギリ滑れる勾配を意識せよ」と教わったことを意識して、うまくラインを刻んでいけました。
雪崩の恐れはほとんどない緩い斜面のトラバースでした。
天狗平に出ると、大日・奥大日、剣岳、そして立山の絶景が繰り広げられており、しばし見とれてしまい、足が止まります。
先行者のトレースとここで合流しました。しかし先行者はどこだ?追いつけないどころか、姿すら見えない。夢か幻か?とさえ疑いました。
この先、風でトレースは消えたりしていてラッセルもほとんどないので、好きなところを歩きます。
貪欲に前へ前へと進んだばっかりに、体力の配分ができておらず、今回の目標である室堂に到着したころには、ヘトヘト。
ちょっと休憩。
水分は山専ボトルのお茶500mlのほかに、ビタミンガード500mlペットを持ってきましたが、ビタミンガードが凍り始め、凍って飲めなくなる前に飲んでしまえと思い、飲み干します。
あとは残り400mlくらいのお茶のみ。いけるか?雪を足しておきます。
本来ならもう目標達成なので、引き返してもよかったのですが、時間も余裕があり、雄山を目の前にして我慢できますか。
さらに先行者は先に進んでいるという事実は、負けず嫌いの自分にとって、引き返すことはできませんでした。
さぁ待ってなさい。というやつです。
何度か雄山には上ったことはあるけれど、こんなにキツイと思ったのは初めてというくらい遠くて辛い道のりでした。
一ノ越手前でクラストしており難儀、クトーを使って登りました。一ノ越からはアイゼン歩行でした。
足取りが重く、さらに風が強いのを言い訳に前に進めません。泣きが入りそうです。
どれだけ歩いても遠い。もう勘弁してくれ〜。と思っていると、やっと先行者の姿を見ることができました。スキーで滑っていました。慎重に滑降している様子です。
まだ山頂に到達できない自分には、もう彼に追いつくことはできないだろう。少しネガティブ思想が繰り広げられ、ヤバイ!と気を取りなおす。
気力がなくなったらアウト!そうだ、何歩連続で歩けるのか、自分と勝負しよう。と自分に提案する。
「1,2,3,4・・・40。もうダメ。歩けん!」1分休憩。これを繰り返すことしばらくして、ようやく山頂に到達。
よくやりました。「最高、なんも言えねぇ」と独り言を声に出してみて自分で笑う。
山頂は360度の絶景でした。白銀の世界とはこれ。富士山も見えるくらい空気は澄んでいました。最高です。
形容のしようもなく非常に美しい、敢えて言うなれば天国のようです、、、が、実際は風も強く顔が痛くて天国とは程遠いです。
六甲学院立山ヒュッテと夜景 ここで先行者トレースから逸れてトラバースラインへ(ピンボケ失礼)
朝日を待つ鍬崎山
静寂の中迎えた白山のモルゲンロートは忘れられない
弥陀ヶ原と朝日を浴びる富山平野
白く眩しい 大日山 奥大日山
柔らかく射す光 ここに浴びたれ
ついに立山と向かい合った あの頂に立つ以外に何を望もう
静まり返った室堂ターミナル
一ノ越山荘と竜王岳
浄土山 飛ばされたスプレーが光を受ける現象
不審者じゃありません ノースガードがないと鼻水どころか鼻が凍ります
さて、景色を楽しんだら滑降です。小屋から滑降開始しますが、クラストしていてヤバイ。恐る恐る横滑りでターンできるところまで高度を落とします。
雪が付いているところだけターンするという微妙な滑り。勾配が緩くなったところは気持ちよくターンできる。
しかし、風当たりが強いところはカリカリ。減速するも止まり切れず、コケてしまいました。こうなるとカナリ危険です。
ずるずる滑り始めて、ジタバタもがき、何とかストップできました。神様。
下の方だったからまだ止まれたけれど、上でコケたら一歩間違えれば本当の滑落。
少し大げさかもしれませんが死ぬかと思ったくらい怖かったです。山崎カールはもう二度と御免です。
結論、滑りについては楽しくはなかったです。
それもこれも、足もう死んでおり、力が入らないことから始まっているようでした。今回運が良かったものの、何事も簡単にはいかないです。
残りの林道をひたすら進むのは、体力と気力の勝負。ひたすらスケーティング。早く帰りたいの一心。
トラバースルートは大いに役に立ちました。快適に滑ることができました。
ここで休憩、羊羹を食べますが、あまり進まない。チョコパンも受け付けない。身体は何を必要としているのかわからないのです。食欲がなくなるケースは初めて。
でもエネルギーを取らないと。まだまだ先は長いのです。
ロースハムはここでもグッド。ホワイトチョコもいけました。ゼリーは食欲がない時もサラッと入ってくるので一本一気飲みでした。
よし、後半戦頑張ろう!
まさかとは思ったけれど、弥陀ヶ原を滑降中、後続が4人もいることに驚きました。さらにここで先行者に追いつくことができました。まさか厳冬期立山で5人もの人に出会うとは思ってもみませんでした。みなさん自分のつたない記録を見てくださっているとのことで大変恐縮です。
今回大変お世話になりました先行者さんと情報交換。非常にバイタリティー溢れた方で、トレランで鍛えた体力で24時間以上は行動できるという底抜けの体力の持ち主で相当な強者でした。
前日16時からラッセルしていたとのこで、自分は度肝を抜かれました。荷物も自分よりコンパクトでした。とんでもない人がいるものです。
それにしてもトレースを使わせていただき、本当にありがとうございました。助かりました。
天気は良く気温も上がっており、さらに後続がトレースを踏み固めてくれたおかげでボブスレーが滑る滑る。しかし自分のショートカットのトレースはあまり人気がなかったようで、踏み固まっていませんでした。近道になることは間違いないと確信しているので、自分を信じてカットカット。ん〜快適。
美女平に到着、明るいうちに下山できそうで安堵。ここでドリンクを飲み干します。脱水症状の兆候があり、水分が足りていない。
美女平からは雪質が非常に悪く、辛抱の滑りを余儀なくされました。
これまでの長い道のりを考えればなんてことはありません。
立山駅が見えたときは、嬉しかったです。無事で帰還しました。
ゴーーール!!!
ありがとうございました。
すみません、アルペンルートはもう懲り懲りです。
振り返れば、トレースを借りたこと、厳冬期とは言え気温がさほど低下せずして終始行動できたことなど、かなりラッキーな条件が整っていたからこそ成せた山行でした。
当初の目標であった室堂を通り越して山頂まで行ったことは、結果的によかったけれど、想定していないリスクも数多くありました。それも含めて、考えが甘かったと思います。
さらに体力の配分、エネルギー配分、水分管理など、まだまだ甘い部分が山積。無謀と思われる山頂からの滑降は反省するところが大きいです。
諸刃の剣のような山行はダメだなと思いました。
(またとない幸運、飲み会の席のじゃんけん大会で、運を使い果たしていなくて、よかった。)
前回の敗退を考えると、体力、技術、装備、経験がどれだけあっても、最後は天候が最大のネックだと改めて思いました。リベンジできてよかったです。
何といっても無事で何よりです。
(唯一)楽しめた斜面
北の俊英 剱岳
天狗山下のトラバースライン
真っ白な雷鳥に遭遇(突然の出来事に対応できずイマイチな写真で失礼)
トラバースラインから林道へドロップ 少し重いパウダーでした
トレース 大感謝でした!!
先行者の方の滑り