槍ヶ岳北鎌尾根をワンデイで挑戦した。Yasuhiro先生の記録を拝見させてもらい、自分も北鎌尾根をやってみたいと思っていた。しかし自分はまだ未熟、素人ができる山行ではないことは承知していた。「いつかやってみたい山行です」という話を以前から大魔神さんにしていたところ、今回、お誘いがあったので、挑戦する運びとなった。大魔神さんは山のエキスパートで、このお誘いを逃せばもう無いと思った。

 北鎌尾根はルートファインディング能力が無いとかなり苦戦するコースだ。大魔神さんに完璧なルートファインディングをしてもらえたお陰で、自分でもこの山行達成することができて、今はとても感慨に浸っている。トータル13時間20分のロング山行でした。

 0:00ゲート出発と大魔神さんと打合せをしていた。無料駐車場に車を停めて、そこからゲートまで少し登らなければならない。10分前にゲートに着くと、大魔神さんもちょうど来たところだった。大魔神さんと山スキー以外で山行を供にするのは初めてだ。山の魔人に着いて行けるか?足を引っ張らないか?不安もあったが、気合いは十分、やる気満々、やるしかない!世間話をしながら50分で白出沢出合に到着した。

 日が出ていないので、涼しくて、さくさく歩いて槍ヶ岳山荘に到着した。ここで水分とエネルギー補給をして、再スタートした。一気に槍の肩を目指すこととするが、飛騨乗越の手前で雨が降り出した。やっぱりそう甘くない。雨は想定内だからすぐカッパを羽織った。槍の肩までは4時間5分だった。少し暖をとり、すぐに東鎌尾根を歩き出した。高度を下げて行くと雨は上がった。3,000m付近だけ降っているようだ。

 夜が明けてきて、幻想的な山並みに勇気づけられた。飛騨沢も一望できた。 

 最高の思い出に残る山行だった。大魔神さんのルートファインディングのお陰で、ハーネスもロープも使わずフリーで北鎌尾根を詰めることができました。

 食料はゼリー7個、お菓子でした。ドリンクはハイドレーション1.5リットル(2リットルパックは満タンにしなくても大丈夫でした)と現地調達で十分でした。


 初めてのバリエーションコース、面白かったです。ありがとうございました。自分でもルートファイディングが上達できる様に、がんばります。

 東鎌尾根は表銀座の一部である。稜線の小ピークを直登するハシゴ場もあり、面白い稜線だった。

 5:20水俣乗越に到着した。この時点で雨は上がっており、天候はしばらくは大丈夫だろうと判断し、北鎌尾根を目指すことを決意した。水俣乗越から沢を下ることになる。

 2100m付近まで降りればあとは緩やかな沢を降りるだけだ。しばらく水は出てこないが、1900m付近で水場があり、そこから川になる。水は雪解け水だから飲むことができる。冷たくて美味しい水だった。がぶがぶ飲んでも問題なし。顔を洗えば最高にスッキリだ。

 谷の下降口はトレースがしっかりしており、迷うことはなかった。降りて行くつれ小石が混じるが、大したことは無く普通に降りられた。左の写真は2300m付近。大魔神さんに石を落とさない様に、注意して降りた。右の写真は2200m付近。この辺りから雪が出てきたが、これも問題なく降りられた。

 1830mで北鎌沢出合に到着する。ここから北鎌沢のコルに向って登り返しである。見上げればコルが見えるのが目印だ。北鎌沢はしばらく沢登となるのだが、水に濡れること無く登って行けた。2100m付近で最期の水場となる。先行パーティも見えたが、すぐに追い抜くことが出来た。ワンデイの荷物の軽さには敵わないだろう。コルに近づくにつれ高度も増し酸素は薄くなってきて、息はすぐに切れてしまった。

 北鎌沢のコル周辺はお花畑だった。コルからの稜線はまだ植物が生い茂っているため、ストックが有効に使えた。ストックは折りたたみ式で、軽く、すぐにリュックにつけることが出来るものが重宝する。岩登りの時は当然両手を空けなければならいし、かさばると支障になる。

 独標が見えてくると、ここから岩登りの始まりである。この先はルートファインディング能力がネックになってくる。トレースもいろいろあるが、惑わされること無く、確実なルートを大魔神さんは切り開いて行ってくれた。独標は右巻きにした。しばらくは右巻きが基本で進んで行った。

 際どいトラバースや高度を下げないと行けない場所も的確に進んだ。見事すぎて感動すら覚えた。

 登り、トラバース、下降すべて際どいところは3点支持を徹底した。 かなりビビって遅くなってしまう場面もあり、この辺から足を引っ張りだした。 1ヶ所、大魔神さんのルートでどうしても怖くて行けないルート(右の写真)があり、自分でなんとかルートを切り開いてクリアすることができた。ここがクライミング技術が試される最大の核心部だったようだ。落ちたらアウトの場面で、手も足も支持する点を見いだせず、諦めざる終えなかった。トラバースは恐ろしい。

 小ピークを上手く巻き、稜線に出れば小さい槍が連続しているのがわかる。これを一つずつクリアしていかなければならない。大槍の姿はガスで見えないのが残念だった。

 そして、、、遂に、槍ヶ岳のピークにでることができた!こんな達成感はかつて味わったことがないほどだった。必死に登って、やっとの思いでたどりついた槍ヶ岳、嬉しかった。景色はガスで見えなかったけれど、本当に感動ものである。最高!大魔神さんと固く握手を交わした。感謝です!

 山頂で写真を撮っていた山ガールは、祠の後ろから人が登ってきて、驚いてくれた。どこから来たんだこの人たち?当然である。知る人ぞ知る北鎌尾根、やりました!!!

 北鎌尾根に取りついて3時間の末、ようやく大槍が姿を表した。間近でみると、大迫力!!

崖だ。どうやって登るの〜。「穂先は近い 気を抜かずがんばれ」という看板で気合いを入れ直し、最期の難関に挑んだ。

 稜線の小ピークは基本的には右に巻いて来たが、大槍直下は左巻きぎみに稜線を登ることにした。

 ピンやロープがところどころあったが、それを完全に信用して体重を預けてはいけない。大魔神さんはほとんどロープには触れることなく登って行った。自分は、大魔神さんがどこを支持して登ったのか、見て覚えて真似することで、なんとか最期の絶壁は登ることが出来た。最期が一番険しかったと思う。

 記念写真も撮ってもらったところで、下山である。人も多く、難儀するかと思いきや、大魔神さん、走って降りていきます。流石魔人、早過ぎる。

 槍ヶ岳山荘で小休止し、そこからはランニング下山の開始である。写真を撮る暇もなくガンガン下って行った。1時間走り続けて槍平避難小屋まで到達。恐るべしスピード。ここでも足を引っ張ってしまった。槍平避難小やからは、またしても雨が降り出した。不幸中の幸い、北鎌で降らなくてよかった。

 雨が降り出したらランニグは滑って危ないので、早足で歩いて行った。

 山頂から約2時間で白出沢出合いに到着した。頑張りました。ヘロヘロです。

奥穂の登山口で イケメン 発見!Yasuhiro先生だった。挨拶をして、先に下山させてもらいます。

下りはかっ飛ばしてゴール!完全燃焼です。